この本の内容
東北のマタギに代表される狩猟の世界は、肉体的にもかなり厳しく、常に危険と隣り合わせ。それゆえ伝統的に男がするものという考え方が一般的です。しかし、そのような現場において、みずから山に入り、猪を撃ち、鹿を解体する女猟師たちがいます。なぜ彼女たちは銃を担ぎ、猟場に立ち、動物を撃つのか。「その理由が知りたい」と、2009年に『マタギ』を記したカメラマンの田中康弘氏が五人の女猟師たちを訪問。30代から60代までの彼女たちは、育った環境や時代、そして狩猟の動機もそれぞれ異なっていました。狩猟を取り巻く社会状況や世間の目というジレンマを抱えた中で、自然とともに強く優しく生きる彼女たちの姿に迫ります。
この書籍の目次
004 序章 狩猟する女性に惹かれて
007 第一章 渡辺 亜子 長野県南佐久郡川上村
畑を荒らす害獣も極上の獲物として
農閑期の楽しみとなる
039 第二章 原 薫 長野県松本市
山に魅せられた木こり系ヨガ講師
猪を山で狩る
071 第三章 安本 日奈子 石川県小松市
狐里庵に詰まった
獲物に捧ぐ思いと山からの恵み
103 第四章 吉井 あゆみ 兵庫県朝来市
子供のころ狩りで育ち
狩猟で生計を立てるプロ猟師の矜持
135 第五章 広畑 美加 大分県大分市
猟犬本来の歓喜を
自ら与えるため手にした猟銃
167 狩猟用語の解説
168 終章 狩猟という文化が担うもの