十五歳の露国少年の書いたカムチャッカ旅行記<復刻改訂版> 立ち読み

十五歳の露国少年の書いたカムチャッカ旅行記<復刻改訂版>

出版社 新函館ライブラリ
著者 ジョルジュ・クラマレンコ
監修 ゲ・ア・クラマレンコ
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この本の内容

日本で暮らすロシア人少年が、函館を経由してカムチャツカへ。
それは実に、ロシア革命の翌年だったが…

横浜の聖ヨセフ学院に通っていたロシア人少年ジョルジュ君は、1918(大正7)年夏、父に連れられ、カムチャツカを旅します。
父は、日本とロシアを股にかけ手広く水産業を営んでいたクラマレンコ氏。カムチャツカではデンビー商会2代目アルフレット・デンビー氏の別邸を宿としました。
デンビー商会も、日ロを股にかけた有力な水産業者。本拠地・函館で雇用していた日本人は千人を下らなかったといわれ、カムチャツカでは高度に自動化された缶詰工場を操業していました。
緻密な観察眼により綴られた旅の風景。当時のロシアのブルジョワジーたちの暮らしぶりや先進の工場の様子が垣間見られ、函館経由の道中では、日本を途上国と見なす少年の視点もうかがわれます。
それにしても、父子が旅した1918年とはロシア革命の翌年にあたり、少年の父やデンビー氏も含めた民間資本家は未曾有の窮地に立たされていたはず。なのに父子はデンビー氏やその兄弟と狩猟三昧の日々を送り、少年の目に、周囲の大人たちに去来したはずの苦悩はみじんも感じられません。
当初、ロシアで出版される予定だったこの旅行記は、ロシア革命により出版活動が停止されたため、1922年にベルリンで出版され、日本ではその翌年、富山県の高岡新報に連載されます。
本書はそれを現代かな遣いで再編集した復刻版。新たに探り当てた資料も盛り込み、読みやすく、分かりやすいものとしています。

この書籍の目次

まえがき 004
予告広告 007
父の書いた序文 008
地図 016
一   一九一八年四月(入院の時・父の約束・愉快な想像) 017
二   四月十九日(父の褒美・旅行の決定・不意の延期) 017
三   六月十二日(大急の出発・辛き別れ・母の祝福) 018
四   六月十三日(古い都仙台・車窓の眺望・青森に到着) 022
五   六月十三日(汽船田村丸・郵便物積込・船客の充満) 024
六   六月十三日(夜の函館・ダニチさん・突然の訪問) 026
七   六月十四日(子供を紹介・市中の見物・準備の散髪) 028
八   六月十五・十六日(大沼の湖水・魚釣の失敗・松島の追憶) 030
九   六月十七~十九日(山上の家屋・子供用の銃・自分の船室) 033
十   六月二十~二十四日(強烈の逆風・調理の教授・石炭の消量) 036
十一  六月二十五・二十六日(岸が見える・岩ある小島・暖気を取る) 038
十二  六月二十六日(恐ろしい談話・危険を脱す・たくさんの暗礁) 040
十三  六月二十七日(陸上の遠望・漁舟に移乗・河口の激浪) 042
十四  六月二十七日(丸太建の家・海岸のカモメ群・トロッコ乗) 044
十五  六月二十八日(紅鮭の盛期・十フィートの高波・別邸の構造) 046
十六  六月二十九日(工場に行く・鮭の処置法・製造の順序) 049    
十七  六月三十日(しけの連続・カムチャツカ河口・荘大な高山) 051
十八  七月一日(入浴と更衣・体重を量る・漁舟の組立) 055
十九  七月二日(熊狩の発議・一行の出発・留守の鮭釣) 056
二十  七月四・五日(蒸風呂好き・フィンランド人設計・飲料クワス) 059
二十一 七月六・七日(川岸の散歩・弟の舵取り・二つの高山) 062
二十二 七月八~十一日(ミリコヴォ行・父を見送る・学友の奇遇) 066
二十三 七月十二~十四日(日本人のカモ撃・峻峰を遠望・入浴のさび釜) 070
二十四 七月十五~十七日(先住民の奇過・風呂に入る・別の仕事場) 073
二十五 七月十八日(軽舟で朝食・伝馬船に乗替・野営の設備) 077
二十六 七月十八日(水源地行き・産卵する鮭・大きな足跡) 079
二十七 七月十九日(第二の出猟・他の水源地・熊の食残し) 082
二十八 七月二十日(狼の棲む穴・白樺の美林・親子連の熊) 084
二十九 七月二十一日(逃げ行く熊・倒木の形状・鷲の鳴真似) 087
三十  七月二十二日(湿コケの絨毯・危険な写真・熊を追撃す) 090
三十一 七月二十三・二十四日(防寒シャツ・特別の調理・再び出猟す) 092
三十二 七月二十五日(野営の撤去・週間に五頭・ふ頭の歓迎) 096
三十三 七月二十六~三十日(永田丸入港・衣服の修繕・ウシカニ島) 099
三十四 七月三十一日(養殖場見物・鮭の生卵期・養殖場の池) 101
三十五 八月三・四日(大きなゴレツ・薫製の名手・監視巡洋艦) 105
三十六 八月六日(パヴレンコ・孵卵の実験・生育の結果) 107
三十七 八月七・八日(川向こうの村・アナディリ・鮭を寄贈す) 111
三十八 八月九日(河口の事件・事務長の死・遭難者救助) 113
三十九 八月十日(遺物の発掘・水深の目測・胃袋中の魚) 116
四十  八月十一日(馬鞍の構造・便利な旅袋・癖の悪い馬) 120
四十一 八月十二日(氷河を望む・広野へ出る・険しい峡谷) 123
四十二 八月十三日(各自の銃器・突然に伏せ・十五頭の群) 126
四十三 八月十四日(帰途につく・又もや降雨・毛皮の拾物) 132
四十四 八月十五日(伝説の記録・機船で帰着・出猟の成績) 135
四十五 八月十六日(今日の料理・座談の賑い・マンモス譚) 137
四十六 八月十七~二十一日(郵便物到着・発動機試験・八人で鳥猟) 139
四十七 八月二十一~二十三日(将軍の珍話・三十年前昔・仏国観光団) 142
四十八 八月二十四日(カモの居る所・嘴の長い鳥・私の初獲物) 145
四十九 八月二十五~二十八日(突然の爆発・熊撃の出発・鮭引揚見物) 148
五十  八月二十九・三十一日(最後の暖日・珍種の白鷹・護謨底足袋) 152
五十一 九月二・六日(天気の変兆・汽船の帰航・アビの晴雨計) 155
五十二 九月七~十二日(養殖場閉鎖・鯡群の襲来・続々引揚げ) 157
五十三 九月十三~十五日(帰期の接近・汽船の帰来・船室を造る) 161
五十四 九月十五~十七日(司厨へ交渉・船中の混雑・高山の美観) 164
五十五 九月十八~二十一日(湾内を俯瞰・ぺ港を抜錨・先住民の婦人) 169
五十六 九月二十二~二十五日(イルカの大群・北海道見ゆ・タイフン来) 171
五十七 九月二十五~二十七日(大波と戦う・端舟砕かる・満船の不安) 173
五十八 九月二十八~三十日(鶏肉すき焼・身体の疲労・東京へ安着) 175
主要人物紹介 179
参考資料 185
年譜 松本高太郎 195
あとがき 196